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医療機関の人と組織戦略|病院の現状×採用・育成・定着の基本方針

賃上げ・物価高で支出は増える一方、収益は伸ばしにくい──医療機関が今後を見据えて再考する「採用・育成・定着」

 

「支出は増えるが、収益は増えない」──医療機関の経営変革が避けられない理由

2025年。最低賃金の上昇、物価高、エネルギーコストの高騰──。
あらゆる業界で「コスト上昇」にあえいでおり、サービス価格に転嫁し価格向上が起きています。

しかし、医療機関は他業界と同じように医療サービス価格を引き上げることができません。
その理由は、構造にあります。

医療機関の収益の大半は「診療報酬制度」に基づいており、
価格を自由に設定できるわけではありません。

原資になっているのは国民が支払っている社会保険料ですが、

それを増やすためには、高齢者が増加し労働力人口の減少する日本では、働き手の負担を増やすことに繋がります。そして、診療報酬の単価が決まっている以上、簡単に医業収益を大きく伸ばすことは難しいのです。

一方で、物価上昇によって医療材料費、委託費、光熱費、人件費などは確実に増えています。
「支出は確実に増えるが、収益は必ずしも増えない」。
そのギャップが、今まさに多くの医療機関の経営を圧迫しています。

→ ヘルスケア領域への想い:「安心して歳を重ねられる日本」をつくるために

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医療機関を取り巻く“構造的な変化”

日本の医療は、制度によって守られている一方で、
その制度が変化を制限している面もあります。

ここ数年の環境変化を整理すると、主に次の4点が挙げられます。

1.地域医療構想と機能分化

患者数の増加が見込まれる一方で、
急性期病床の削減・機能分化が進み、
「必要な医療」を「地域ごとに最適化する」方向へと舵が切られています。
つまり、単に患者を増やせば良い時代ではなくなりました。
地域医療計画の中で“自院の役割をどう定義するか”が問われています。

2.医療職の人材不足と採用難

医師・看護師・薬剤師・リハ職などの有資格者の求人倍率は依然として高水準。
「募集しても応募がない」「人が定着しない」という声は全国共通です。
地方では特に、医師確保が経営存続の条件にもなっています。

3.医療DX・在宅医療・地域包括ケアの加速

オンライン診療、電子カルテ共有、介護連携、訪問リハ・訪問看護など、
医療の提供場所が病院から“地域”へと広がっています。
DX化が進むほど、情報共有やチーム連携の重要性が増しています。

4.医師の働き方改革と管理職の負担増

時間外労働の上限規制がスタートし、
「医師が支える」構造はもう限界を迎えています。
看護部やリハ部門、事務部門などの中間管理職に
マネジメント力・チーム牽引力がこれまで以上に求められる時代になりました。

 

医療機関向け支援の全体像
採用・育成・定着を一気通貫で。支援内容と事例をまとめました。
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“今までの延長線上”の経営が難しい理由

医療機関の多くは、
「人を増やす」「病床を埋める」「外来を伸ばす」などの施策を行ってきました。

しかし、

つまり、「規模を拡大する発想」から「価値を再設計する発想」へ
経営のパラダイムを転換する必要があるのです。

医療機関に求められる“3つの変革”

地域医療需要に即したリサイズ戦略

病床を増やすことはできなくても、
「自院の役割」を広げることはできます。

たとえば、

「どんな地域課題を、誰/どこと連携して解決するか」
という視点で医療を設計し直すことが、これからの医療経営には不可欠です。

組織マネジメントの再構築

病院の現場は、職種ごとの分断が起きやすい構造にあります。
医師、看護師、薬剤師、リハ職、事務職──それぞれの専門性が高いほど、
「他職種理解」や「チーム連携」が難しくなる。

現場の声を聞くと、
「上司が忙しすぎて話せない」
「何を目指しているのか共有されていない」
「評価や成長の基準が曖昧」
といった課題が多く見られます。

こうした状態では、若手職員が育ちにくく、
モチベーションや定着率にも影響します。

管理職に求められているのは、
“現場を指導する力”よりも“組織を動かす力”。
つまり、「チームをまとめ、理念と現場をつなぐ力」です。

採用・育成・定着の三位一体改革

医療・介護業界では、
「採用できない」という声が先行しがちですが、
本質的には“辞めない組織をどうつくるか”が鍵です。

どちらも、人と組織の課題です。

スケッチでは、
従業員幸福度を可視化する「Happiness Survey」や、
採用戦略を診断する「Blueprint診断」を通じて、
“採用・育成・定着”の課題(伸びしろ)を可視化して捉えています。

スケッチが考える「医療機関の変革支援」

私たちスケッチは、採用支援から始まり、
組織開発、人事制度設計、マネジメント研修まで、
“人と組織の変革”を一貫して支援しています。

医療機関においても、
変革の中心にあるのは「人」です。

制度や仕組みを整えるだけでは、
行動や文化は変わりません。
理念が共有され、
一人ひとりが“自分の仕事に誇りを持てる”状態をつくること。
それこそが、医療の持続可能性を支える根幹だと考えています。

スケッチでは、次のようなアプローチで支援を行っています。

「採用」も「人材育成」も「組織文化」も、すべてはつながっています。

守る”経営から、“進化する”経営へ

これまでの医療は、“守る”ことを使命としてきました。
命を守り、地域を守り、制度の枠の中で安定を守る。

しかし今、必要なのは“進化する医療”です。
社会構造が変わる中で、
医療機関もまた「持続可能な仕組み」へと進化しなければなりません。

そのために必要なのは、
設備投資や、法人内の制度改定よりも、“人と組織の変革”です。

変革は、仕組みではなく「人」から始まる

現場には、想いを持って働く人がたくさんいます。
ただ、その想いが報われる仕組みがない。
頑張っても変わらない、認められない、報われない。
そんな経験をした人ほど、医療の未来に不安を抱えています。

だからこそ、
「人が希望を持てる職場」をつくることが、
これからの医療機関にとって最も重要な経営課題です。

私たちは、医療機関が
“人から変わる”ことを支援していきます。

理念を再定義し、組織を再構築し、
採用・育成・評価の仕組みを整える。
その先に、
医療機関が再び「地域に信頼される場所」として輝く未来があります。

終わりに:未来を“描く”医療機関へ

スケッチという社名には、
「未来を描く」「構想を形にする」という意味を込めています。

医療の現場は、決して希望を失ってはいません。
むしろ、変わる力を最も秘めている場所だと思っています。

変革は、一足飛びには進みません。
けれど、確実に描くことはできる。
人と組織から、未来を描くことができる。

これからの時代、
医療機関の競争力は「人と組織の力」で決まります。
私たちはその“変革の伴走者”として、
医療の未来をともに描いていきたいと考えています。


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