採用お役立ち情報

物流業の採用難はなぜ続くのか|給与だけでは解決しない定着の問題

1.変化する物流業界と「選ばれる企業」の新しい基準

昨今の物流業界において、経営者の方々が頭を悩ませている課題の一つに、
時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」があるのではないでしょうか。
この規制は単なる残業時間の削減ではなく、
長時間労働を前提としてきた運行体制や収益構造の見直しを迫るものでもありました。

厚生労働省が発表している「労働経済の分析(労働経済白書)」によりますと、
運輸業・郵便業の欠員率は他の産業と比較しても依然として高い水準で推移しており、
人手不足感は深刻な状況が続いています。
そのうえで採用市場に目を向けると、
「数ある選択肢の中から、求職者に選んでもらう」という、
難易度の高い採用競争の局面に入っています。

こうした環境下で、一部の企業では給与体系の見直しなど、
金銭的なインセンティブによる採用強化を図る動きも見受けられます。

しかし、現場からは
「一時的な応募は増えても、定着に結びつかない」
「数ヶ月でまた人が辞めてしまう」
といった声が聞こえてくることも少なくありません。

なぜ、条件を良くしても人は定着しにくいのでしょうか。
そこには、数字だけでは測れない「組織の健康状態」が関係している可能性があります。

2.「賃金アップ」だけでは解決しきれない、採用のミスマッチ

採用難に直面した際、「給与に原因があるのではないか」と感じることもあるかもしれません。
しかし、リクルートワークス研究所が実施している「中途採用実態調査」などを参照しますと、
離職者が職場を去る決定的要因は、必ずしも賃金への不満だけではないことが浮き彫りになっています。

同調査の結果などを踏まえると、
離職理由には以下のような項目が上位に並ぶ傾向があるようです。

これらは、いわば「見えない報酬」とも呼べる要素です。
給与を上げることは、不満を一時的に解消する「衛生要因」としての効果は期待できますが、
それだけで社員の意欲を高め、長く働きたいと思わせる「動機付け要因」にはなりにくいという側面があるようです。

特に中小規模の運送会社においては、経営者の想いが現場に届きやすい反面、
ひとたびコミュニケーションが滞ると、不信感が広まりやすいという側面があります。
賃金という「数字」を整えることと並行して、
社員一人ひとりが「この会社に居場所がある」と感じられるような、
情緒的なつながりを作ることも、今あらためて求められています。

3.見落とされがちな、日々の対話と評価のあり方

国土交通省の資料では、トラックドライバーの確保に向けては、労働条件の改善だけでなく、
本人が納得できる評価や、働きがいを感じられる職場づくりが重要だとされています。
こうした課題に向き合ううえでは、制度面の整備に加え、日々の声掛けや対話を通じて、
現場の負担感や不安を早めに把握できる関係性を築けているかどうかも大切です。

その日々の関わりの中心にいるのが、運行管理者配車担当の方々です。

ドライバーは一人で過ごす時間が長い仕事だからこそ、
自分の働きぶりを見てもらえている実感や、困りごとを相談できる安心感が、
職場への信頼につながることがあります。
賃金や労働時間といった条件面に加え、こうした日々の関わり方も、
定着を考えるうえで見落とせない視点ではないでしょうか。

現場では
「自分の仕事が正当に評価されていない」
「管理者との意思疎通がうまくいかない」
と感じる場面が、小さなストレスとして積み重なっていくこともあります。
こうした点も今後の物流経営における重要なテーマの一つではないでしょうか。

4.【支援事例】採用コスト1/10を実現した「資産蓄積型の採用」への転換

こうした「条件面だけでは解決しきれない課題」に対して、実際に成果につなげた事例があります。
私たちスケッチが実際にお手伝いをした、北陸地方物流企業の事例をご紹介します。

このお客様も、
当初は「多額の広告費を投じても応募が来ない、来てもすぐに辞めてしまう」という、
多くの経営者様が抱える共通の悩みを抱えていました。

そこで取り組んだのは、自社の「隠れた魅力」を徹底的に言語化したうえで、
求人チャネル改善や、note・SNSでの情報発信を通じて、
資産蓄積型の採用”へ転換していくことでした。

具体的には、以下のようなステップを踏んでいます。

こうした取り組みの結果、
採用コストは従来の約10分の1まで抑えられ、
半年間で6名の若手ドライバー採用にもつながりました。
さらに、「noteを読んで会社の考え方に共感した」という応募者が増え、
条件面だけではなく、理念や風土への共感をきっかけにした採用へと変化していきました。

この事例が示しているのは、
採用成果は「どの媒体を使うか」だけで決まるものではなく、
自社の魅力や働く価値をどれだけ言語化し、
求職者に伝わる形で発信できているかにも大きく左右される、ということです。

求職者は条件面だけでなく、
その会社がどのような考えを持ち、どのような雰囲気で働いているのかも見ています。
だからこそ、採用活動は広告の改善だけでなく、
自社らしさを整理し、継続的に伝えていく取り組みとして捉えることが重要です。

👉物流業の採用支援メニューと進め方をまとめています。詳しくはこちら。

HRデザイン for インフラストラクチャー | 日本の産業を支えるブルーカラー企業を一気通貫で支援するHRコンサルティングサービス

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5.まとめ:これからの物流企業に求められる「選ばれる組織づくり」

物流・運送業のように人の力で現場が成り立つ業界では、
採用や定着の有無は、事業運営にも影響を及ぼします。
今後の厳しい環境を乗り越えていくためには、
時代の変化に合わせて、組織のあり方や人との向き合い方を見直していくことも重要です。

給与や広告費といった目に見える数字の改善はもちろん欠かせません。
しかしそれだけでなく、
社員一人ひとりが「この会社で働き続けたい」と思えるような、
対話しやすく、納得感を持って働ける組織をつくっていくことも、
重要な経営テーマになります。

先述の事例のように、自社の魅力を言語化し、社内の関係性や発信のあり方を整えることは、
結果として採用コストの見直しや、選ばれる会社づくりにもつながっていきます。

明日から見直したい採用活動のチェックポイント

最後に、すぐに見直せる項目だけを整理します。
「応募が来ない」「採っても続かない」と感じたときこそ、
求人媒体の改善だけでなく、職場の受け入れ体制や情報の伝え方まで含めて確認してみることが大切です。

【求人票】

【面接】

【入社後】

もし「どこから手をつければいいか分からない」「現場の声を拾いきれない」という場合は、
まずは現状を整理するところからご相談ください。
私たちは、求人媒体の改善だけでなく、“採用が続く組織づくり”まで含めて支援しています。

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