目次
「社員の高齢化が年々進んでいる」
「将来に向けて技術を継承したいが、若手からの応募がなかなか集まらない」
といった切実なお悩みを、お客様から伺う機会が多くなりました。
長年地域に根ざし、安定した経営を続けられてきた素晴らしい企業であっても、
「知名度がない」「業界のイメージがあまり良くない」といった理由で、
採用活動において苦戦を強いられているケースは少なくありません。
一方で、これから社会の中心となっていく
「Z世代(概ね1990年代後半から2010年代序盤に生まれた世代)」の企業選びの基準も、
少しずつ変化してきています。
大手人材会社が実施している大学生向けの就職意識調査などを見ますと、
「給与」や「雇用の安定」が引き続き上位に挙げられると同時に、
半数以上の学生が、「社員の人柄や職場の雰囲気を知りたい」と回答する傾向にあります。
つまり、条件面が整っていることだけでなく、
「リアルな働き方がイメージできるか」
「社風や人間関係がイメージできるか」
といったポイントが、最終的な入社を決断する大きな鍵を握っていると言えそうです。
求職者が求める「リアルな情報」と、企業側の発信に、
少し「すれ違い」が起きているのかもしれません。
このすれ違いを解消し、
自社に合った若手人材に「ここで働きたい」と感じてもらうための取り組みこそが、
今求められている「採用ブランディング」だと言えます。
「採用ブランディング」という言葉を聞くと、
どこか難しそうに感じられたり、
「大手企業が多額の予算をかけて行うもの」
というイメージを持たれたりするかもしれません。
ですが決してそんなことはなく、
むしろ地域に根ざした中小企業だからこそ、
多額の費用をかけずに等身大の魅力を伝えることができると考えています。
まずは、よくある3つの誤解を紐解いていきましょう。
「若手を採用するなら、TikTokやInstagramで流行りの動画を作ってバズらせなければ」
とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろんSNSは有効な手段の一つですが、
目的と手段が入れ替わってしまうと、運用担当者が疲弊してしまうばかりか、
本来届けたい「自社の魅力」が伝わりにくくなってしまいます。
採用ブランディングの本質は「目立つこと」ではなく、
「自社がどのような価値観を大切にし、どんな人が働いているのかを正しく伝えること」にあります。
求人を出す際、少しでも多くの応募を集めようと、
会社の良いところばかりを強調してしまいたくなるのは自然なことです。
しかし、実態以上に背伸びをして「よく見せよう」とすると、
入社後に「思っていた環境と違った」というギャップが生まれ、
結果的に早期離職につながりやすくなってしまいます。
Z世代は、インターネット上の情報を見極めることに長けています。
だからこそ、良い面も、
時には少し泥臭い面も含めて「リアルな姿」を誠実に伝える企業に、
安心感と信頼を抱く傾向があります。
採用ブランディングは、素晴らしい採用サイトを作って終わりではありません。
「採用サイトではアットホームと言っていたのに、面接官の態度がとても威圧的だった」
「風通しが良いと聞いて入社したが、実際はトップダウンだった」
といった矛盾があると、せっかくのブランディングも逆効果になってしまう恐れがあります。
発信しているメッセージ(入口)と、面接での対応(途中)、そして入社後の働き方(体験)に
一貫性を持たせ、一本の線でつなぐ意識を持つことが、非常に大切です。
では、誤解を解いた上で、Z世代の心を動かすためには、
具体的にどのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。
ここでは大切な3つのポイントをご紹介します。
長年その会社で働いていると、自分たちの良さに気づきにくくなってしまうものです。
例えば、
「毎日決まった時間に家に帰れる」
「部署間の垣根がなく、社長とも気軽に話せる」
「残業代が1分単位でしっかり出る」
といった、社内では「当たり前」と思われている環境が、
実は他社や若手求職者から見ると「魅力的な条件」であることは多々あります。
まずは社員の皆様の声に耳を傾け、自社に眠っている隠れた魅力を言語化し、
再定義することが重要です。
求職者が本当に知りたいのは、条件面の羅列だけではなく、
「自分がその職場で働く姿をイメージできるか」という点です。
フリー素材の笑顔の写真や、定型文のようなキャッチコピーではなく、
実際に現場で汗を流して働く社員の姿や、
少し散らかっているかもしれないけれど活気のある現場の様子など、
「ありのまま」の空気感を伝えることが大切です。
魅力が言語化でき、見せるべきリアルな情報が揃っても、
それが求職者の目にとまらなければ意味がありません。
Z世代は、ハローワークの求人票を見た後も、
必ずと言っていいほどスマートフォンでその企業名を検索し、
WebサイトやSNSでさらに詳しい情報を調べようとします。
そのため、採用に特化したサイトを整備したり、
無料から始められるnote(ブログサービス)やInstagram、
Googleマイビジネスなどを活用して、
いつでも自社の情報にアクセスできる経路(導線)を整えておくことが、
採用成功への大きな第一歩となります。
ここからは、実際にスケッチがご支援した、
「採用ブランディング」を見直し、若手人材の獲得に成功した企業の事例を2つご紹介いたします。
1つ目は、北陸地方で運送・倉庫業を営む企業様(従業員数約70名)のケースです。
こちらの企業様は、地域密着で30年以上の歴史を持つ安定企業でしたが、
現場を支える社員の平均年齢は45歳を超えていました。
「物流=キツイ」という業界イメージも先行し、
人材紹介会社に1名あたり100万円以上の多額の費用をかけても、
若手からの応募はほとんど集まらない状態が続いていました。
「お金をかけても採用できない。このままでは事業が継続できないかもしれない」
という強い危機感を抱えていらっしゃいました。
まず15名の社員の方々に丁寧なインタビューを行いました。
すると、外から見えがちな「物流業のイメージ」とは異なる、
自社ならではの「リアルな魅力」が浮かび上がってきたのです。
それは「夜勤や再配達がなく、毎日家に帰れる働き方」であり、
「上下関係が強すぎないフラットな人間関係」でした。
この「当たり前の日常」をコンセプトとして再設計し、
求人原稿を「条件の羅列」から「1日の仕事の流れや職場の雰囲気がわかる内容」へと改善しました。さらに、求人媒体への一過性の広告出稿に依存するのではなく、
無料でも使える「note」や「Instagram」を活用し、
社員インタビューや入社エピソードを発信し始めました。
一度Web上に公開した記事は残り続けるため、
これらを「情報資産」として蓄積していく方針へと舵を切ったのです。
こうした「ありのままの魅力」を伝え続けた結果、
前年同時期に5名だった応募数は23名(4.6倍)へと大きく増加しました。
さらに素晴らしいことに、20代を中心とした若手6名の採用に成功。
採用単価も140万円から15万円へと、およそ1/10に圧縮することができました。
「noteを読んで、会社の考え方に共感しました」という応募者が増え、
待遇面だけでなく「社風や理念への共感」を軸とした採用へと生まれ変わった好例です。
2つ目は、関東地方で金属加工や機械部品の製造業を営む企業(従業員数約40名)の事例です。
高い技術力で大手メーカーから安定した受注を得ていたものの、
採用活動は長年ハローワークや知人の紹介に頼りがち。
応募者数は年々減少し、採用できても年齢層が高めになる傾向があったため、
社員の平均年齢は50歳を超えていました。
「今のうちに技術を継承していかなければ、近い将来、会社にブレーキがかかってしまう」
と、深く悩まれていました。
人材が集まらない最大の原因は、「魅力がないこと」ではなく、
「魅力が可視化(言語化)されておらず、求職者に伝わっていないこと」にありました。
そこで、社員の方々へのインタビューを実施し、仕事のやりがいや人間関係をヒアリング。
さらにプロのカメラマンを入れ、工場で働く臨場感のある写真を撮影しました。
これらを活用して、企業の「ありのままの良さ」を伝える採用特化型のWebサイトを新たに構築したのです。
同時に、求職者がスマートフォンで検索した際に見つけやすいよう、
GoogleマイビジネスやSNSの導線を整理。
また、応募が来た際にしっかりと対応できるよう、
オンライン面接ツールの導入支援や、面接官向けの研修(質問力や判断力の底上げ)など、
受け入れ体制の強化も並行して進めました。
これらの施策により、
なんと6ヶ月間で「過去4年分の総数と同程度」となる49名もの応募を獲得しました。
結果として、平均年齢30.6歳という次世代を担う若手人材6名の採用を実現し、
採用単価も2万5千円と非常に安価に抑えることができたのです。
また、選考過程で辞退された方の理由(給与水準や休日数への要望など)を真摯に受け止め、
経営会議でさらなる待遇改善のテーマとして取り上げるなど、
「応募が来たからこそ、次の組織改善に進める」という好循環も生まれ始めています。
👉物流業・製造業の採用支援メニューと進め方をまとめています。詳しくはこちら。

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ご紹介した2つの事例のように、「応募が来ない」とお悩みの企業であっても、
やり方を変えることで好転する可能性は十分にあります。
まずは明日から始められる、3つのステップをご紹介いたします。
STEP1:社員の声を聞き、自社の「本当の強み」を掘り起こす
まずは、今働いている社員の皆様と対話する時間を設けてみてください。
「なぜうちの会社で働き続けているのか」
「どんなところに働きやすさを感じているか」
をフラットに聞いてみることで、
経営陣が気づいていなかった「等身大の魅力」が見つかるはずです。
STEP2:求人原稿を「条件の羅列」から「具体的なストーリー」へ変える
「月給〇〇円」「週休2日」といった条件だけが書かれた求人票では、
他社との違いがなかなか伝わりません。
STEP1で見つけた強みをもとに、
「朝出社してから退社するまでの1日の流れ」や「職場の休憩時間の雰囲気」など、
求職者が「自分がそこで働く姿」をありありと思い浮かべられるような、
具体的なストーリーを添えてみることをおすすめします。
STEP3:掛け捨ての「コスト」から、自社に残る「資産」へシフトする
掲載期間が終われば消えてしまう求人広告は「コスト」になりがちです。
もちろん広告も有効な手段ですが、並行して、
自社のホームページやブログ、SNS、採用特化サイトなど
「一度作ればWeb上に残り続ける場所」で発信を始めてみましょう。
これらは、少しずつ蓄積されていく採用活動の「資産」となり、
中長期的に採用単価を下げる大きな力となってくれます。
いかがでしたでしょうか。
採用難が叫ばれる昨今ですが、「知名度がないから」「業界のイメージが先行する」と、
自社の採用を諦めてしまう必要は決してありません。
まずは、自社に眠る魅力を徹底的に洗い出すこと。
それが、求職者の心に響く「採用ブランディング」の第一歩となります。
採用活動は、単なる欠員補充ではなく「会社の未来をつくる重要な投資」です。
もし、
「自社の魅力がうまく言葉にできない」
「何から手をつければいいか迷っている」
といったお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
皆様の会社にしかない素晴らしい魅力を一緒に掘り起こし、
未来を共に創る採用の仕組みづくりをサポートさせていただきます。

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