2026-01-13
【テーマ】幹部育成・リーダーシップ
高収益の裏で、経営が本気で向き合おうとした「人が静かに離れていく問題」
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プロジェクトテーマ
高収益に甘えず、違和感に早く気づける組織へ——問いを持ち続ける管理職を増やす研修
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エリア
東海地方
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取り組み内容
1.企業情報と相談背景|
高収益の裏で、経営陣が感じていた「違和感」
クライアント企業:東海地方・製造業
本記事は、東海地方の製造業企業において、「人が静かに離れていく」課題に向き合い、
管理職研修を通じて現場の対話と関係性を変えていった支援事例です。
東海地方に拠点を構える、ある製造業の企業。
長年にわたり培ってきた技術力を強みに、特定分野では高いシェアを誇り、
安定した受注と高い収益性を維持していました。
設備投資も計画的に行われ、業務フローも整備されている。
外から見れば、「堅実で強い会社」という評価が自然と当てはまる企業です。
しかし、経営陣の間では、ある違和感が共有され始めていました。
それは、人が静かに辞めていくことでした。
大量離職が起きているわけではない。業績に直ちに影響が出るほどでもない。
それでも、振り返ると、
「辞めてほしくなかった人材」が確実に会社を離れている。
経営陣としては、
「これは放置してはいけない問題だ」
「今、向き合わなければ、数年後に必ず効いてくる」
という強い危機感を持っていました。
現場に大きな混乱はありません。
管理職も責任感が強く、日々の業務に追われながらも職場を回していました。
だからこそ、離職は次のように整理されがちでした。
・本人の価値観の問題
・今の若い世代の傾向
・キャリアの選択として仕方がない
しかし、それだけで片付けてしまって良いのか——経営はそこに疑問を持っていました。
特に気になっていたのは、
管理職が離職を「自分たちのマネジメントの結果」として捉えきれていない点です。
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2.スケッチの支援内容|
制度より先に、管理職の「向き合い方」を整える
経営として制度や評価の見直しも検討しました。
しかし、それ以上に必要だと感じたのは、
管理職一人ひとりの「人との向き合い方」そのものを見直すことでした。
指示や管理の問題ではない。スキル不足でもない。
もっと根っこの部分、
「どんな視点で部下を見ているか」
「どんな前提で会話をしているか」
に目を向ける必要があると考えました。
(1)研修で扱った問い
本研修では、冒頭から具体的な事例や数字を示すのではなく、ある“物語”からスタートしました。
「船は順調に進んでいる。嵐もなく、大きな問題ない。
それでも、仲間が少しずつ船を降りていくとしたら——原因はどこにあるのか?」
この問いに、明確な正解はありません。
だからこそ管理職は、
「自分のチームだったらどうだろう」
「辞めたあの人は、何を感じていたのだろう」
と、自然と考え始めます。
(2)物語を通じて見えてきたもの
研修では、航海と仲間の物語の世界観をたとえに用いながら、
組織と人の関係性をひも解いていきました。
同じ船に乗っていても、仲間それぞれが目指しているものは違う。
それでも航海が続くのは、「自分の想い」と「船の旅」が重なっているからです。
管理職の中からは、こんな声が上がりました。
「自分は、船の進み具合しか見ていなかったかもしれない」
「部下が何を目指しているのか、聞いたことがなかった」
理論ではなく、
感覚として“自分のことだ”と腹落ちする空気が生まれていきました。
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3.成果|
現場の会話が変わり、「違和感」に早く気づける状態が生まれた
・面談の場で、仕事以外の話題が自然と増えた
・管理職同士が「どう関わるか」を相談するようになった
・離職を、感情ではなく構造として捉える視点が生まれた
研修が終わった直後、劇的な変化が起きたわけではありません。
しかし研修後しばらくし、経営層からは、「管理職の会話の質が変わった」という声も聞かれました。
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4.本研修が目指しているもの
この研修は、管理職に答えを与えるものではありません。
むしろ、問いを持ち続けられる管理職を増やすことを目的としています。
高収益であることに甘えず、人の違和感に早く気づける組織であるために。
そして、「ここで働き続けたい」と思える理由を、現場で育てていくために。
スケッチは、組織課題の多くは
制度や仕組みではなく、人と人の間に生まれるものだと考えています。
だからこそ、正解を教える前に、一人ひとりの働く背景や気持ちに目を向ける。
その積み重ねが、関係性を変え、結果として組織の力を高めていくと信じています。